Studio OneよりCubaseが優れているところを広めたい

DAWを選ぶ際、CubaseとStudio Oneはよく比較されます。

そしてネットで調べると、Studio Oneを絶賛する記事やブログのほうが圧倒的大多数を占めています。

と言うより、Cubaseを優位に扱ってる記事は皆無に等しいです。

よく言われているStudio Oneの良いところは

  • 価格が安い
  • 動作が軽い
  • 音質が良い(個人の好みですが)
  • 操作がわかりやすい
  • Melodyne Essentialが付いてる

と言った感じですね。

僕もStudio Oneで曲を作ったことがあるのでわかりますが、確かにこれらの理由は間違ってないです。

間違ってはいないのですが、これらの理由を大きく掲げて闇雲に誘導するのはフェアじゃないと常々思ってるので、長年Cubase(今はNuendoにアップグレードしたけど)を愛用してる身として、Cubaseにも光を当ててあげたいと思います。

DTM初心者向けなので難しい言葉は極力使わないようにしています。

1.価格は確かに高いけど…

松竹梅のグレード比較をすると、どれもCubaseのほうが2万円くらい高いです。

2万円あればかなり良いプラグインが買えるので、確かに無視できない理由ではあります。

しかし、両者の機能が全く同じなわけではないので、Cubaseが何かしら優位な機能を持ってるとしたら2万円分の価値も見出せるのではないでしょうか?

僕が感じる、Cubaseが優れている部分を探していきたいと思います。

2.動作の軽さは言うほど差はない

7〜8年前だったら確かにまだPCスペックの高くないユーザーも多かったとは思いますが、ここ2〜3年のPCはとても性能が良いので、わざわざ声を大にして言うほど動作の軽さに両者の明確な違いは無いです。

様々な操作のレスポンスも近年はほぼ差がないです。

これに関してはCubaseがStudio Oneに寄せてきたというか、リスペクトしている部分でしょうね。

あと、Cubaseはよく落ちると言われがちですが、Studio Oneも落ちる時はしっかり落ちます。

よほど大量のオーケストラ音源を立ち上げたり、重いプラグインを挿しまくらない限りはどちらもそう簡単には処理落ちしません。

3.音質は好みによる

これは特に僕ら日本人にありがちらしいんですが、日本人は数値で比較するのが大好きらしいんですね。

んで、CubaseやStudio Oneの仕様上の数値や波形の細かい違いを比較して

「こう言う理由でStudio Oneのほうが音質が良いと言えます!」

と断言している人が本当に多いです。

そんな理屈を聞いたら頭の中でバイアスがかかるのは当然で、いつの間にかStudio Oneは音質が良い!と錯覚させられます。

でも冷静に考えれば人によって音質の好みは様々ですし、だからオーディオ好きな人はイコライジングにも拘ったりするわけで、エンドユーザーにしてみれば明らかな聞き苦しさが無ければそれが正解なわけです。

もちろん、時代の進化と共に同じ設定でも音質が良くなっていることは間違いないですが、書き出しデータの音質の良し悪しや優劣をあれこれ理屈で語ることはナンセンスだと思います。

CubaseとStudio Oneの音質をサイレント比較してる人はほぼいないですし、やっていたとしても誰もかれもがStudio Oneの音質に大絶賛なのでちょっと怖いです。

僕は知人の楽曲をCubaseとStudio Oneそれぞれで書き出してもらいサイレント比較してみましたけど、正直わかんなかったです。

ストリーミング配信用に変換されたら、もうそれこそ比較のしようがないです。

4.波形編集に強い

結構知られていないことですが、Cubaseの波形編集って他のDAWに比べて劣化しにくいんです。

サンプリング素材とかボーカルを扱う際、タイムストレッチ等で長さを調整したり音程を調整することは避けられないわけですが、Cubaseはかなりダイナミックに波形編集しても劣化しにくいです。

サウンドデザインのお仕事をする上でいろいろな都合でツールを使い分けることがあるためProtools、Logic Pro Xなども結構使用するのですが、波形編集だけはNuendo(Cubase)またはWaveLabをわざわざ使っています。

Cubaseでは波形編集のアルゴリズムもかなり選べるので、編集する素材によってアルゴリズムを変えたりすれば波形劣化のストレスはかなり減ります。

Studio OneにMelodyne Essentialが付いてるように、CubaseにもVariAudioという似たような機能がありますが、出来ることはMelodyne Essentialよりもいくらか多いですし、ボーカルをゴリゴリ調整してもちょっとやそっとでは不思議なくらい劣化しないです。

波形編集の強みは、サンプラートラックでも発揮されています。

サンプラートラックとは、トラックそのものがサンプラーとして機能する仕組みで、わざわざソフトサンプラーを立ち上げる手間もないし、ソフトサンプラーのように波形を音階で鳴らしたり、one shot素材にスライス加工したりもできます。

EDMを作る際にはかなり役に立つ機能ですね。

これらのような、Cubaseが持つ波形編集の強みは結構見逃されてる気がします。

話は戻りますが、波形編集の劣化には言及せず「Studio Oneは音質が良い!」と言うのはこれ如何に。。。

5.エクスプレッションマップが強烈に使える

多少MIDIの知識とロジカルな思考が必要になりますが、エクスプレッションマップ機能を使うとオートメーションエリアでのアーティキュレーション切り替えができるようになり、ノート入力によるキースイッチが不要になります。

ただ、この機能に関しては最新版のStudio Oneにもほぼ同じような機能が追加されています。

じゃあ優位な部分はないんじゃないか?と思いますが、エクスプレッションマップはもう一歩踏み込んだことができるのです。

僕がよくやるのはアーティキュレーションの融合です。

サンプリング方式のオーケストラ音源にありがちですが、sustainのアタックが弱すぎてキビキビした演奏がやりにくいと感じる場面が多々あります。

そんなとき、音源側のMIDIチャンネルを合わせてエクスプレッションマップでstaccatoとsustainを同時に発音するアーティキュレーションを組めば、アタック感のあるsustainを作れてしまうのです。

これはかなり便利なのでCubaseユーザーはエクスプレッションマップを極めるとたくさん幸せになれると思います。

Studio Oneのキースイッチでもうまいことやれば似たようなことはできるかもしれませんが、仕組みが違うので結構面倒な気がします。

6.自分好みに超カスタマイズできる

前述のエクスプレッションマップも同様のことですが、Cubaseはマクロやロジカルエディターを駆使することでDAWで発生しがちな複雑で面倒な作業を超効率化することができます。

例えば、同じコマンドを何度も入力する編集をボタン1つにするとか、複雑な条件に合致したMIDIノートだけを選択するとか、そういったDAWに慣れてくればいつか発生する悩みを自分の力で解消することが可能です。

ある意味、これこそがCubase最大の魅力と言えるかもしれません。

ただこれはオブジェクト指向が得意な人にとっては便利だけど、そうでない人にはちょっと敷居が高いです。

7.タブレット端末でサブDAW化できる

Studio One含めて、iPad等のタブレット端末をフィジカルコントロール化するような機能は結構あります。

僕が言いたいのはそういった機能ではなく、タブレット端末をアイデアメモ用のDAWとして使い、アイデアメモのデータをPCのDAWに転送して曲を仕上げるスタイルのことです。

Cubaseの場合、CubasisというiPad/iPhoneアプリがあります。

DAWアプリは結構存在していて各社まだ発展途上というのが現状ではありますが、その中でもCubasisは一歩進んだアプリです。

作曲するためのピアノロールや基本的な音源、外部録音機能やミキサーが一通り揃っているのでCubaseとほぼ同じ操作感で曲作りをすることが可能です。

WAVESの専用プラグインもアプリ内で購入すれば使うことができます。

Cubasisひとつで曲作りを完結させるのは難しいですが、曲のアイデアが浮かんだ時にサッとアプリを起動してサクサクっとアイデアメモできてしまう環境は、慣れてしまうと手放せない完璧な作曲スタイルだと思います。

僕の場合、仕事で常にNuendoを開いている環境ではありますが仕事用のMacで個人の作曲をするわけにはいかないので、アイデアが浮かんだ時にはいつも自分のMacを別途起動させて個人のNuendoを起動させて。。。と面倒なことをしていたわけですが、Cubasisを導入してからは仕事中に限らず普段の生活の中でも作曲アイデアが浮かんだ時にiPadからCubasisをサッと起動させてパパッとピアノロールに書き込んでいます。

Cubasisで作ったデータはPC側に送ってやればCubase(Nuendo)で開くことが可能なので、メモしたデータから曲を仕上げる連携も非常にスマートです。

このようにモバイル端末側のアプリとPC側のDAWソフトでうまく連携ができるのはCubase/CubasisLogic Pro/GarageBandくらいです。

唯一のデメリットとしてはCubasisがまぁまぁの値段するってことですね。

通常価格が¥6,000くらいなのでアプリとしてはかなり高い部類です。

セールのタイミングなどを狙って少しでも安くなってるときに手に入れるのがお勧めです。

8.Cubaseに頑張って欲しいこと

良いことばかり書いても胡散臭いので、Cubaseに頑張って欲しいことも書いておきます。

一番頑張って欲しいのは、Studio Oneが後追いしてくるような機能開発に力を注いで欲しいです。

ここ数年のCubaseは、Studio Oneの後追いで機能を追加する姿勢が目立つように思います。

Studio Oneは開発者が元Cubaseの開発者であることから「Cubaseで出来なかった(いろんな理由で開発できなかった)ことをやる」というマインドが根底にあるので、バージョンアップの度に革新的な機能を放り込んできます。

Cubaseも老舗の意地で、Studio Oneが真似してきたくなるような機能を積極的に開発してほしいと思います。

あとは価格面です。

先述の通り、どのグレードを選んでもCubaseのほうがStudio Oneよりも2万円高いですが、これに関しては問題視する必要はないと思います。

しかしStudio Oneは、機能がかなり制限されてはいるもののStudio Oneの魅力を知るには十分すぎるPrimeという無料版を配布しています。

最近のゲームでもそうですが、入り口が無料ってのはやはりユーザーにとって大きなアドバンテージです。

僕はDTM歴が長いためCubaseに慣れすぎてしまい今更Studio Oneに乗り換える気力はありませんが、その昔まだお金もそんなに持っていないDTM初心者時代に、もしもStudio Oneが選択肢にあったらStudio Oneユーザーになってた可能性は高いと思います。

実際、僕もたまに中学生や高校生向けの職業講演や体験授業で登壇することがありますが、パソコン室のマシン全てにStudio One Primeを導入しておいてもらって、それを体験してもらいながらサウンドの仕事について講演してます。

それほどにStudio One PrimeはDTMの導入として本当に使いやすいのです。

長い歴史を持つCubaseにとって無料版を配布するというのは難しいのかもしれませんが、時代に合ったマーケティング手法の一つとして是非取り入れて欲しいですね。

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